3.中国語の方言の種類とは?
2017年06月15日 16時07分
中国語に「方言」が多いということも不思議ではないですよね。
実際に、中国語方言のなかには、「中国語の7大方言」と呼ばれるものが存在しており、
多くの人が中国語の標準語である普通話とこの方言を使い分けているのです。
中国語の7大方言とは
広大な国土面積を誇る中国では、その地域や民族によってさまざまな中国語の方言が使われています。なかでも、もっとも有名な方言のことを「中国語の7大方言」としてまとめています。
中国語の7大方言には、「北方(ほっぽう)」、「呉(ご)」、「湘(しょう)」、「贛(かん)」、
「閩(みん)」、「客家(はっか)」、「粤(えつ)」という方言があります。
以下では、それぞれの方言について少しまとめています。
(1)北方方言
・・・北京市や重慶市、東北地方や南京市などで多く用いられている方言であり、
「北京語」と呼ばれることもあります。
中国語の公用語である普通話は、北京語であるといった誤解が生まれているようですが、
普通話と北京語は全く違うものだということを覚えておきましょう。
(2)呉方言
・・・中国最大の都市である上海市をはじめ、江蘇省や浙江省などで用いられている中国語方言です。
「上海語」と呼ばれることもあります。呉方言は、北方方言(北京語)のつぎに母語話者が多い方言です。
(3)湘方言
・・・主に、湘南省や長沙市で主に使われている中国語方言です。
湘方言は、湖南語と呼ばれることもあります。
(4)贛方言
・・・江西省などの地域で主に用いられている方言であり、母語話者の数は六千万人ほどとされています。
江西語と呼ばれることもありますし、さらに細かくいうと長沙で栄えた長沙語と呼ばれる贛方言が有名です。
(5)閩方言
・・・広東省の北部や福建省、さらには台湾などで用いられる方言です。
福建語や台湾語などと呼ばれており、母語話者は六千万人ほどです。
台湾のほか、海外ではシンガポールやマレーシアに暮らしている華僑や華人などにも用いられています。
(6)客家方言
・・・台湾やマレーシア、タイなどに暮らす華僑のあいだで用いられている方言です。
客家方言の特徴は、古くから伝わる昔ながら中国語の発音が今でも多く残っているということです。
(7)粤方言
・・・広州や、香港、マカオ、東南アジアなど、海外に暮らす華僑にも多く使われている方言です。
粤方言は、広東語や香港語とも呼ばれており、客家方言と少し似ていることが多いようです。
北京語とは?
中国の7大方言を簡単にご紹介しましたが、なかでも中国語を勉強しているとよく耳にする中国語の方言についてさらに詳しくみていきましょう。
中国の方言のうち、もっとも母語話者が多いとされるのが北方方言です。
そして、この北方方言のなかでも、よく耳にすることがあるものに
「北京語」という種類の方言が含まれています。
北京語とは、中国の北京市をはじめ、台湾やシンガポールなどでも用いられている中国語の方言です。
北京語の特徴
北京語の特徴は、中国語の標準語である普通話の発音や声調と似ていることから、中国語を勉強しようと思っているかたにとっては、習得しやすい方言だといわれています。
北京市にいけば、大抵の人が北京語を話していますので、
簡単な北京語を覚えているだけでコミュニケーションがとりやすくなるでしょう。
北京語は標準語ではありません
中国の首都である北京の名が入った方言であるため、よく中国語の標準語と同じだと誤解されることがあります。しかし、この二つは決して同じではなく、きちんと区別されています。
中国政府が中国語の標準語として定めているのは、「普通話(普通话)」と呼ばれる言語です。
普通話を制定するにあたり、北京語の語彙や発音、声調などが参考にされたともいわれていることから、
北京語は標準語であるという誤解が生まれたのではないでしょうか。
しかし、「北京語は、標準語ではありません」。
北京語は、北京市をはじめとした地域で用いられている中国語の方言の一つですが、
中国語の標準語とは異なるものですので、これから中国語を学ぼうとしている方は注意が必要です。
中国語教室では標準語を学ぼう!
日本国内にある中国語教室で学ぶことができる中国語は、主に「標準語」です。中国語の講師の多くが、標準語のほかに中国語の方言を使い分けているので、
話そうと思ったらどちらの中国語も話すことができてしまいます。
しかし、厳密にいうのではあれば、やはり中国国内の公用語である普通話を
先に学んだほうが良いといわれています。
そして、方言のなまりが少ない講師から学んだ方が中国語の学習効果は高いといえるでしょう。
広東語とは?
中国の広東省をはじめ、香港やマカオなどで用いられている中国語の方言を「広東語」といいます。さきにご紹介した北京語や、そのほか上海語のつぎに母語話者が多い中国語の方言が広東語です。
世界的に有名な広東語は、英語ではカントニーズ(Cantonese)と呼ばれています。
広東語の特徴
広東語の特徴は、なんといっても昔ながらの中国語らしさが残されているということです。中国語の標準語である普通話にくらべると、その違いは明らかです。
普通話は、これまでの複雑な中国語を簡略化させて、だれもが簡単に中国語を話せるように
統一させるための言語です。
そして、古くからの中国語の良さを残している広東語は、普通話とは語彙や発音、
そして声調なども大きく異なるのです。
広東語には声調が6つもある!
広東語のもう一つの特徴に、「声調が6つもある」ということがあります。中国語の標準語である普通話の声調は、4つです。
広東語には声調が6つあるということで、さらに複雑な形をしているのです。
日本人が中国語を学習するときに、もっとも難しいとされる点が発音や声調です。
発音が比較的簡単な日本語にくらべると、中国語の発音はとても複雑で、
それに声調も加わるので基礎の段階からとても苦労する人が多いのです。
広東語の声調は6つあるので、普通話を学びながら広東語を同時に学ぶのは非常に困難を極めます。
広東省や香港、マカオ、マレーシア、シンガポールで暮らそうと思っているのであれば、
広東語を中心に学習するのも良いですが、広東語を話す人の多くが学校で標準語の普通話を
学習してきているため、普通話を先に学習してもさほど問題はありません。
読み書きで表現できない広東語
広東語を学習するうえで難しい点でもあり、おもしろい点でもあるのが、この「読み書きで表現できない広東語」があるということです。
広東語には6つの声調があるように、語彙や発音がたくさんあります。
そのため、頭では理解できても、読み書きでは表現できない言葉というのがいくつかあるのです。
このような言葉に関しては、身体に覚え込ませるしかありません。
中国語の標準語である普通話や、母語話者が最大数を誇る方言である北京語などに比べると、
広東語は声調の多さや文字で書きあらわせない文字があるということが学習を難しくさせているのです。
漢語とは?
中国から日本に伝わった言語に、「漢語」があります。日本でいう漢語とは、字訓でよむのではなく、字音で呼ばれる言語であり、
漢字でつくる熟語というように捉えられています。
中国における漢語とは、ただ単に中国語ではなく、「漢民族が使う言語」という意味を指しています。
中国では、中国語のことをそのまま中国語と呼ぶことはなく、中文というように表現します。
さまざまな地域や民族により用いられている中国語の語彙や発音、それに声調が異なるため、
漢民族が使う言語のことを漢語というように、中国語の別名が存在するのです。
日本では、中国から伝わってきた言語が今では国語として私たちの生活に根付いています。
そして、このような言語のことを総称して日本では漢語と呼ぶことがあるのです。